東日本大震災による新卒採用戦線の見通しと学生の就職活動について
この度の東日本大震災は、新卒学生の就職活動にも 大きな影響を与えています。現時点(2011年4月4日)での復興状況や企業側の対応等を踏まえて、今 後の新卒採用戦線の見通しと学生の皆さんの就職活動にアドバイスをさせて頂きたいと思います。
今回の大震災は来春(2012年)卒業予定の学生だけでなく、今春(2011年)卒業の学生にも「内定取消」という形で影響が 出ています。東北地方の企業だけでなく、東北地方に拠点や取引先を持つ他地域の企業にも経済的打撃が及び、「内定取消」や「入社延期」「自宅待機」という 通知が内定学生に届いています。
事情が事情だけに、学生にとっては受けとめざる を得ないという状況でしょうが、中には正当な理由のない「便乗取消」であったりする可能性もあるので、通知を受けた学生は必ず学校に相談するようにしてく ださい。また、厚生労働省では特別相談窓口を全国のハローワークに設置していますので、一人で孤立せずに相談するようにしてください。
来春卒業予定者の状況や活動について
次に、来春卒業予定の学生の就職活動に関してです が、企業側は自社の事業活動自体への影響や学生への配慮といった観点から、大手企業を中心に採用活動のスケジュールを2ヶ月間ほど後ろ倒しにしたり、会社説明会や選考会 の追加を行うという措置を講じています。それらの詳細については、就職サイトにも発表されていますので確認するようにしてください。(リクナビでは、「今 回の震災を受けての今後の企業採用活動」という特設ページを設けており、4月4日現在で全掲載企業の約4割にあたる3050社が情報公開しています)
そういった措置は、学生にとっては有り難いこと ではありますが、反面、5月以降に大手企業と中堅・中小企業の採用活動が重 複して実施される、という厳しい状況も想定されます。
例年は、大手企業の採用活動が一段落してから中 堅・中小企業の採用活動が佳境を向かえるというスケジュールですが、今年に限ってはそれらがほぼ同時期に行われるということです。
震災による景況の悪化で、企業の採用人数自体が 縮小されるであろうという厳しい状況に加え、大手企業と中堅・中小企業の採用シーズンが重複するというマイナス要素が、就職活動を行う学生にのしかかって くる可能性があります。
震災に遭われた学生は、焦らず「生活が落着いて から活動を再開する」ことは勿論ですが、来春卒業予定の学生には以下のような活動が求められると思います。
○ 大手企業にチャレンジしてから中堅・中小へ、とい う活動スケジュールの見直し。
・ 例年散見される大手企業への「記念受験」といった 無駄な活動は避け、自分の志望が強い企業(大手、中堅・中小を問わず)への的を絞った応募。
○ 自分の志望企業の早期の見極め。
・ 例年より間違いなく活動時間は短縮されることにな る。
・ 就職サイトだけに頼らず、自分の足で動いて自分に 合った企業を早期に発見する。
○ そのためにも、今から1ヶ月間が大事。
・ 大手企業の採用スケジュールが後ろ倒しになったこ とで気を緩めることなく、今のうちに就職サイトに載っていない中堅・中小企業も研究する。
・ インターネットによる検索や、学校のキャリアセン ターに足を運んで「求人票」をチェックするとともに相談する。(例年、就職活動の後半時期にキャリアセンターを活用する学生が多いが、今年はフル活用す る)
震災でわかった企業や業界のしくみ
今回の震災では、思わぬ業界の企業が商品の供給 やサービスの提供が出来なくなったりしています。(被災地で原料や部品を調達していた業界や、生産を行っていた業界等)
また、復興にあたっては、政府自治体や自衛隊だ けでなく、各分野のプロ集団がまさしく不眠不休で作業に当たっています。
実際に被害に 遭われた方々には申し訳ないのですが、就職活動中の学生の皆さんにとっては、企業の活動の仕組みを知ること(企業は単体ではなく様々な業態の取引先と活動 している)や、社会に出ると実際にはこういった責任の重い厳しい「仕事」をする、という「企業研究」「仕事研究」を目の当たりにされたのではないでしょう か?
まだまだ復旧には時間と労力がかかります。今ま ではサービスや商品を享受する立場であった学生の皆さん、来春からは自分がそれらを提供するのだという視点で今後の復旧作業を見守ることも、就職活動には 役立つものと考えます。